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それから本当に一時間ほどかかったが、途中何者にも出会うことはなく、俺の心配は杞憂に終わった。俺はハジメの家を見上げて唖然とする。
「これがおれの家ー」
横でハジメが家を指さす。――日本のお屋敷が俺の視界いっぱいに広がる。
「お、お前の家…でかくね?」
「うちの親父、地主だからなー」
「地主!?」
お前やっぱり凄いやつの息子なのかよ!
「ま。とにかく入ろ―ぜ」
「え、ちょ、ま」
まだ心の準備ができてない! 俺は慌てて叫んだが、ハジメは聞いているのか聞いていないのか、ずんずんと前を歩いていく。ハジメが大きな門の前に立った瞬間、門がぎいっと勝手に開く。俺は情けなくも、ひいっと変な声を出してしまった。
「んなびびんなくても」
「び、びびってないし」
「強がるなってー、んなとこも可愛いけど」
おい、さらっと何を言う。目を細めてハジメを睨んでいると、ぬっと目の前に何かが現れた。――ぞくりと背中を何かが這い上がって、俺はぎこちない動きで前を向いた。
「――久しぶりだな、和宏」
そいつを見た瞬間、何故だか懐かしさを感じた。
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