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「付き合……は?」
「だから、好き合ってるなら付き合ってもいいじゃん。なあ」
「別にいいと思うけど」

 いやいやいや、おかしい。山本も何を言ってるんだ。何が別にいいけどなんだ。

「好きなんだろ?」

 山本は無表情でさらっととんでもないことを言ってくる。

「す、好きって……」
「な、かずひろー付き合ってー」

 ハジメは俺の服を引っ張ってなあなあと言ってくる。

「どういう意味で言ってるんだ、お前は…」
「どういう意味って、そのままの意味だけど?」

 ハジメは俺の言葉が意味が分からないというように、不思議そうに首を傾げる。

「お前、俺男……」
「だから、別に男でもいいだろ?」
「……ハジメって、同性愛者なのか?」

 眉を顰めて訊ねると、ハジメは更に首を傾げた。

「どーせーあいしゃ?」

 なんだそれ、とハジメは口にした。

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