▼ 27
「……は…」
俺は目を見開いたまま固まる。鋭い牙がキラリと光った。
「な、なにして……?」
「なにって、あいじょー表現?」
「あ、愛情!?」
声が裏返る。何を言っているんだこいつは!? そして、な、何をしやがるんだこいつは!?
「やる相手がおかしいだろ!?」
「おかしくねーけど? 何で?」
「お、俺は男だし…そもそも俺は人間でお前はよく分からない存在だし」
「別におかしなことないだろ。だっておれはかずひろが好きだからキスしただけだし」
「好き……!?」
俺は再びかっと目を見開く。好きってどういう意味なんだ。普通の好きでキスをするような種族(?)なのか!? しかも男に!?
「なー、かずひ――」
「ちょっと出掛けてくる!」
「え」
「ついてくるなよ!」
俺はここから逃げ出すため、勢いよく立ち上がると部屋を飛び出した。
[ prev / next ]
[back]