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「……は…」

 俺は目を見開いたまま固まる。鋭い牙がキラリと光った。

「な、なにして……?」
「なにって、あいじょー表現?」
「あ、愛情!?」

 声が裏返る。何を言っているんだこいつは!? そして、な、何をしやがるんだこいつは!?

「やる相手がおかしいだろ!?」
「おかしくねーけど? 何で?」
「お、俺は男だし…そもそも俺は人間でお前はよく分からない存在だし」
「別におかしなことないだろ。だっておれはかずひろが好きだからキスしただけだし」
「好き……!?」

 俺は再びかっと目を見開く。好きってどういう意味なんだ。普通の好きでキスをするような種族(?)なのか!? しかも男に!?

「なー、かずひ――」
「ちょっと出掛けてくる!」
「え」
「ついてくるなよ!」

 俺はここから逃げ出すため、勢いよく立ち上がると部屋を飛び出した。

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