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「なー、かずひろー」
「ちょ、分かった分かった。――じゃ、そういうことだから、山本、またな」
『おー』
ぶち、と切れる電話。俺はスマホを仕舞ってから、ハジメに向き直る。
「ヤマモト?」
「今の電話の相手」
「チグサってやつじゃねーの」
「千草経由で友達になった奴だよ」
「…ふーん」
ハジメはむすりとする。どうやら俺に友達がいることがやっぱり嫌なようだ。その嫉妬にちょっとだけ嬉しくなって、俺は内心首を傾げる。……まあ、認めよう。ハジメのことは、結構好きだ。
「そうそう、兄貴にかずひろのこと訊かれたんだけどさー」
「げ、俺のことなんか話したのか?」
「……や、かずひろのことは俺だけの秘密にしたくて、話してねえんだ」
「……え」
じっと見つめられながら言われ、どきりとする。顔が熱い。って、なんで俺、照れてるんだ。
「そ、そう」
動揺して、これだけしか言うことができなかった。俺は気まずくなって、目を逸らす。
「かずひろ、そんな可愛い顔すんなって」
「は!?」
なんだ可愛いって。思わず顔を上げてハジメを睨むと、ハジメは至近距離にいて、俺はびくりとする。大きな目が視界いっぱいに広がる。
「な、なに…」
俺は金縛りにあったように動くことができなかった。その間にハジメの顔が近づいてくる。あ、と思ったときにはハジメの口と俺の口がくっついていた。
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