25

 色々訊きたいことはあるが、とりあえず今までで何をしていたのかを訊ねる。
 ハジメはけろっとして言う。

「家に帰ってた」
「……兄貴のことは、もういいのか?」

 何か壊したから帰れないと言っていたような気がする。眉を顰めると、ハジメは頷いた。

「つーか兄貴に無理矢理連れてかれてさー」
「だから何も言わずにいなくなったのか」
「そーそー、しかもずっと監視されてたからこっち来れねーし」

 ハジメはぴょんと俺から離れると、肩を竦めた。なんだ……。俺はほっとする。俺が何かしたからとかじゃなくて、仕方なく帰ったのか……。
 気が抜けて、ふ、と笑うとハジメは不思議そうな顔をした。

「どした?」
「…いや、おかえり」
「おお!」

 ハジメがにっと笑った。






 俺は早速山本に連絡をした。――ハジメが帰って来たと。すると電話がかかってきて、俺はすぐに電話にでる。……山本、講義中じゃないのか? と疑問に思いながら。

「もしもし」
『よ。帰って来たって。まじ?』
「まじ」
「かずひろ、誰と話してんのー?」
『あ、まじだ。なんか聞こえる』

 山本、本当にハジメも見えるみたいだな。ていうかハジメ、耳元で叫ぶな。

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