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視線が向けられているのが分かる。すぐ外されると思ったその視線は、中々外れることはない。不審に思い始めたころ、ふっと外される視線。俺は良く分からないまま、そっと山本を窺った。格好いいが無表情で少し冷たい印象を受ける。苦手ってわけではないが、得意なタイプでもない。
――ハジメとは正反対のタイプだ。って、またハジメのことを考えている。ハジメのことを考えるのはやめようって思ったばかりなのに。
「近藤くん?」
「えっ? …あ、何?」
先島は心配そうに俺の顔を覗き込む。俺は驚いて一歩身を引いた。
「なんか、難しい顔してるけど、どうかした?」
「体調でも悪い?」俺は先島の言葉に首を振る。
「ごめん、何でもない」
「そう? ならいいけど」
先島はにこりと笑う。そして、前を指さした。
「ちょっと遅れてるから、急ごうか」
「そうだな、悪い」
「ううん」
先島は気にしないでと言うと、早足で歩き始めた。俺もそれに続く。
「はじめまして」
ファミレス前には、俺たちと同じ人数の女子がいた。ふわりと笑うと、ぺこりと行儀よく礼をする。合コンに来るような人だからもっときゃぴきゃぴした女かと思っていたが、普通だ。というか、むしろいい。好みのタイプだ。
「こんにちは。じゃあ入ろうか」
千草がいつもより優しい顔で笑うと、ファミレスのドアを開けた。
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