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 ……といっても、そんなに友達いないんだけどな、俺。幼少期があんな感じだったから友達の作り方ってよく分かんないんだよな。

「……って、そろそろ行かないと」

 千草を待たせてしまう。俺はハジメをじろりと見る。

「もうついてくるなよ」
「えっなんで?」
「なんででも!」

 俺はハジメの返事を待たずに立ち上がると、千草のもとへ急いだ。









「ごめん」
「ん、来たか」

 椅子に座ってパンを食べていた千草に近寄ると、千草は手を挙げた。

「ちょっと知り合いから電話きてて」
「ふうん」

 千草はもう気にしていないのか、それ以上聞いてくることはなかった。ほっとして隣に座る。ぎしりと椅子が軋んだ。

「そのパン旨そうだな」
「うん、旨いよ」

 見ていたら腹が減ってくる。俺も何か買ってこようと思って財布を取り出した。

「鞄見といて」
「おっけー」

 売店に視線を戻す。講義終わりで人がたくさんいる。――その中に幽霊もいた。俺はすぐに視線を逸らして頭にハジメを思い浮かべる。ハジメのようなやつに会ったことはなかったと思ったけど……なんか、昔にも会ったような。なんか懐かしい夢を、さっき見ていた気がする。

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