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「……和宏でいい」
こんどーかずひろこんどーかずひろと何度もフルネームで呼ばれたくない。名前で呼ぶように言うと、ハジメの目が少し細まる。あ、――笑った。と思った。
「かずひろ!」
ぴょん、とハジメが飛びついてくる。まるで犬のようだ。っていうか、冷たい。
「……お前って」
「ん?」
「一応…生きてはいるのか?」
「生きてるからここにいんじゃん?」
「ああ、…あー…そう。いや、俺いつも死んだ人間ばっかり見てたから一応訊いただけ」
不思議そうに首を傾げるハジメにわけを話すと、ハジメはふうんと返しただけだった。まったく興味なさそう。
「そうだ、おれってどこに寝ればいい?」
「は?」
ハジメは、きょろきょろと部屋を見回す。俺はハジメの言葉に眉を顰めた。――寝ればいいって、一体何を言ってるんだ。
「お前は帰れよ」
「なんで!?」
「なんでってこっちのセリフなんだけど!?」
なんで俺の部屋に住むこと前提なんだよ! お前にも家があるだろ家が! 今まで暮らしてきたところが!
「おれ、家に帰れないよ」
「……どうして」
しょんぼりした顔のハジメに、ざわざわと胸が騒ぐ。訊いちゃいけないことだったのかも――。
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