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 高橋の部屋に戻ると、早速高橋のPCを立ち上げる。

「先に始めてよう」
「あ、待たないわけね」
「会長がやれる時間になったら連絡くれるから」
「なるほど」

 「マジックでGO!」のサイトを開くと、ログインをすると、俺の使用してるキャラクターがぱっと表示される。金髪の長剣を持った男のキャラだ。俺とは全く違うタイプのキャラだから、最初会長に馬鹿にされたのを覚えている。ゲームでまで現実の俺みたいに地味なキャラを使いたくない。
 
「懐かしいな、この画面」

 高橋が俺の後ろで、「いろいろ変わってるな」と呟いている。あれから色々アップデートが行われてたくさんの要素が追加された。という話を高橋にもしたのだが、こいつは覚えているのか、まったく。

「久しぶりにやってみるか?」
「いい」

 即答され、俺は口をとがらせる。まあ面白いと思わないままやってもらっても俺としても嫌なので、そこで引き下がる。高橋はもう興味をなくしたのか、会長から連絡がきたら教えてと言ってソファに座った。ということで、俺は一人でゲームを進める。
 広いフィールドを走って敵と遭遇し、パズルを解いていく。そうしてレベルを上げていると、スマホが震えた。

「お」

 高橋が俺のスマホに視線を向ける。

「会長?」
「うん」
『今からやる。お前はもうログインしてるか?』

 ログインしているということを記して送り返すと、街の方に向けてキャラクターを走らせる。会長と合流するためだ。

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