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「よっ」
「おう、来たか」

 高橋の部屋のベルを鳴らすと、高橋が黒地に白の「俺」という文字が書かれたTシャツを着た高橋が出てきた。良く見る高橋の部屋着である。

「なんか食べてきた?」
「いや、なんも」
「今あんま材料なくてさ、簡単なものしか作れないけど」
「あ、じゃあ食堂でもいいぞ俺は。寮の食堂って食べる機械少ないし」
「まじ? じゃあ食堂行こう」

 この学校は、なんと寮に食堂がある。金持ちも多いこの学校ならではだ。しかも安いから、俺も家が近くなかったら寮生活やってみたかったな。

「じゃあ用意するからちょい待ってな。あ、上がって上がって」
「ああ」

 高橋の部屋に上がってとりあえず荷物を置く。そして部屋を見回して、やっぱり会長の部屋とは全然違うなと頷く。別に狭いわけではないけど、最近会長の部屋ばかり行ってたから違和感があるな。
 俺がきょろきょろとしていたからか、高橋は首を傾げた。

「なに、なんか変?」
「いや、会長の部屋に見慣れてたから、ちょっと違和感が」
「えっ、会長の部屋に上がったの?」

 高橋は目を丸くする。会長と知り合ったことは話してるし、これも話していいと思ったけど、まずかったか?

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