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「ちょ、声でかい!」

 俺は高橋の頭を叩く。

「いてぇ! ごめんって」

 高橋は頭を押さえて顔を顰める。俺はちょいちょいと指を曲げて近寄るよう促す。高橋はずいっと顔を近づけてきた。
 周りを確認すると、俺たちのことは誰も見ておらず、ほっとする。

「お前には話すけど、誰にも言わないでくれよ」
「おっけー」

 俺は小さなことで、今までの経緯を話し始めた。





「……って感じ」

 高橋にバレた。とは言え、会長が花好きとかそういうことは言っていない。遅刻の雑用で会長と出会ったことと「マジックでGO!」のよさが分かる人であるということは話したけど。

「へえ、会長って変な趣味してんだなぁ」
「おい、どういう意味だそれは」

 「マジックでGO!」の悪口は止めろ。むっと顔を顰めると、高橋は苦笑した。

「てか俺にはもっと早く話してくれても良くねえ?」
「……いや、どっからバレるか分からんし」
「まあ相手が相手だもんな」

 うむ、と頷く。高橋とはゲームの趣味があんまり合わないけど、こういうところちゃんと分かってくれるから好きだ。そんなことを思っていると、スマホが机の上で震える。ぱっと俺と高橋の視線がスマホに向けられた。画面に表示されている名前は会長の名前だった。

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