26

 昼休み。俺は高橋と教室で昼食を食べていた。

「あ、会長だ」
「ほんとだ。かっこいい〜」

 女子の黄色い声が耳に入ってくる。俺は窓から外を見下ろす。会長が誰かと話しているのが見える。眼鏡の話し相手はどっかで見たことがあるようなないような。

「ん、なに?」

 高橋がパンを一口食べた後、窓に視線を向けた。

「会長?」
「え、う、うん」
「かっけーよなぁ。なんでもできるんだろうし。性格に問題はありそうだけど」

 高橋の言葉に違う、と言おうとして慌てて口を閉じる。――俺も最初は、そう思っていた。でも関わって暫く経つと、いい人だということが分かる。

「あ、こっち見た」
「え」

 俺は目を丸くして再び窓の外を見ると、会長と目が合った。会長は俺に向けて――だろうか、手を振った。きゃあ、と女子が更に騒ぎだす。俺は小さく手を振り返した。会長はにやりと笑ったような気がした。

「え? なに、お前会長と知り合いとか?」

 俺が手を振り返したのを目敏く見つけた高橋が目を丸くして俺に訊ねた。

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