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 部屋の奥まで行って、テーブルに広げられた本やノートが目に入る。もしかして勉強中だったんだろうか。

「あの、お邪魔してすみません」
「気にすんな。それで? 俺になんか用があるんだろ?」
「あ、はい」

 えーと、と口にしながら手元の紙袋に視線を落とす。なんだ、それと問う会長の声が頭上から降ってきた。
 う。なんかこういうちゃんとしたプレゼントするのって久しぶりだから緊張する。

「勉強を教えていただいたお礼にこれを会長に渡したくて」
「……え、まじで?」

 恐る恐る上目で会長を窺うと、会長は目を丸くしていた。大人びている会長が少し幼く見える。
 そっと会長に手渡すと、受け取った会長は目を瞬かせる。

「意外に重いな」

 会長は袋を床に置いて、袋の中に手を突っ込んだ。

「あ? これって――」

 花を見た会長は驚いたように俺を見た。買った花とガチャガチャで手に入れたストラップ――喜んでくれるだろうか。
 反応が怖くて俯く。そんな俺を会長が優しく包み込むように抱き締めた。

「さんきゅ、すげー嬉しいわ」
「会長……」

 ……ん!? 待ってくれ、今の状態おかしくないか!?

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