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 ――そうだ。何かお礼をしよう。俺は家に帰りながらふと思い付いた。会長は花が好きだし、花とかどうだろう。俺は花屋の場所を頭に思い浮かべ、足をその方向に向ける。
 花屋に着くと、俺は花の値段を見て固まる。

「たっ……」

 高くね……? 俺は顔を引き攣らせながら花を見つめる。一番安いもので二千円以上する。こういうまとまってるものって意外に高いんだな…。ちらりと花が一輪ずつ売られているものを見る。これなら色んな花を選んで渡すこともできるけど……値段も普通のものより安いし。いや、でも花のこと分かんないし、ああいう普通の詰め合わせみたいなやつの方が見映えも良い気がする。

「どういったものをお探しですか?」
「へっ、あ、あの……お礼の花を、安めで…」

 花屋の店員に話しかけられ、しどろもどろになりながら答える。店員はにこらかに笑って、近くにあった薔薇の活けられている鉢を持ってきた。小振りで、値段もそこまで高くなさそうだ。

「贈り物でしたら、一輪ずつ売っているものをアレンジして花束を作ることもできますし、こういったアレンジメントも人気ですね。花の種類など何かご希望はありますか?」
「あ、俺あんまり分からなくて…できれば部屋に置けるものがいいんですけど」
「そうですね、それなら――」

 てきぱきと店員が説明をしながら花を勧めてくる。俺は値段を確認しつつ、結局店員に勧められるまま花を購入した。

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