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「はい、ペンを置いてー」

 先生の声に、ペンを置く。解答用紙を回して、ふーっと息を吐く。あれから毎日のように会長に教えてもらえたので、今回の出来は今までで一番だと思う。何はともあれ!

「終わったあああああ」
「よっ、お疲れ」

 小さな声で口にすると、高橋が寄ってきた。俺はちらりと高橋を見上げて、にやりと笑う。

「えっ、なにその顔」
「結果を見て驚くが良い」
「はあ?」

 高橋は訝しげな顔で首を傾げるが、すぐに表情を変えると、スマホの画面を俺に見せてきた。

「ん、なに?」
「このゲーム面白そうじゃねえ?」

 高橋からスマホを受け取り、画面を覗き込む。本格RPGと書かれ、デフォルメのキャラクターが描かれているそれを見て、ふーんと相槌を打つ。

「ふーん、て。反応薄いなぁ」
「俺は今マジックでGO!以外やるつもりないからな」
「まーいいけどさ。……あ、そういえば、前あのゲームにハマったとかいう人もまだやってんの?」
「おう。まあ先週から向こうも勉強しないといけないってことで、やってなかったけど」

 会長だとは分からないように言葉を選びながら答える。高橋はなんだか詰まらなそうな顔をして、ふーん、と口にした。お前こそ、反応が薄い。

「今日からまたやるんだ」
「……良かったな」

 高橋が笑むのを見て、俺も笑い返した。ゲームの趣味は合わないが、高橋は良い友人だ。うむ。

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