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「ま、でも俺のせいでもあるかもしれねーからな」

 ……まあ、それもある。会長がゲームにハマってくれたおかげで俺もいつも以上にゲームをやっていたからな。でも、会長は全然悪くないし、俺はすごく嬉しい。

「それで俺に勉強を……?」
「礼だ。……色々お前には感謝してるし」
「えっ!? 俺に!?」

 感謝されることってなんだろう? 俺なんかしたっけ? 首を傾げると、会長はふっと笑って、スナック菓子を取り出した。この高級感溢れる部屋には似つかわしくない庶民的なお菓子に俺は目を丸くする。

「会長、こういうの食べるんですね」
「おう、結構好きだぞ」
「確かに美味しいですよねこれ」

 安いし旨い。俺も好きだ。うきうきしてお菓子を見つめていると、会長が苦笑した。「お前って、ほんと今までいなかったタイプだな」

「……俺みたいなやつってどこにでもいると思いますけど」
「顔はな」
「顔はって!」

 否定できないけど! でも顔以外は普通じゃないのか、俺は……? なんだかそれもあんまり納得できないんだが…。

「最初は最悪だったが、お前と知り合えて良かったと思ってる」
「……あ、ありがとうございます」

 俺はなんだか恥ずかしくなって、俯いた。

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