18

「――よし、そろそろ休憩するか」

 俺はその言葉を聞いてぐでーっと机に伸びる。そんな俺に視線が突き刺さるが、俺は無視して会長の高級そうなテーブルに身を委ねる。寮は高橋の部屋くらいしか訪れたことがないが、こんな高級感溢れる部屋ではなかったと記憶している。見た目からして高貴だからこの部屋にいてもまったく遜色がない。――というくらい、この部屋は高級なのだ。高級ホテルって感じ。

「お前コーヒー飲めるか?」

 俺は顔を上げて答える。

「えーと、砂糖入りなら」
「砂糖? はっ、ガキだな」

 むっとする。別に大人でもブラックで飲めない人だっているだろ。ブラックで飲めるからってなんだ。飲めても全然偉くないし。……と考えて、飲めないとかよりこの思考がガキだなと自分でも思った。俺は少し恥ずかしくなりながら体を起こす。

「じゃあ、ちょっと待っとけ」

 会長はふっと笑みを浮かべると、俺の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜてキッチンの方へ歩いていく。ぐっ……悔しいけどときめいてしまった。会長が人気な理由、分かってきた。人にブサイクって言うのは今でも納得できないけどな!
 ガーッという音がして、俺はキッチンをちらりと見る。もしかして電動ミルの音か? インスタントでいいのに、っていうか家で飲むとき普通にインスタントなんですけど…。
 少しして会長が戻ってくる。コポコポという抽出している音が聞こえてきた。

「あ、あの…」
「ん?」
「今日ありがとうございます。招いてくださって」

 頭を下げると、会長は面食らった顔をした。

「なんだ、急に改まって」
「いや、感謝してるんで…。俺、ほんとに勉強してなくって」

 苦笑すると、まあそうだろうなという言葉が返って来た。まあ、…長時間一緒にゲームしてたしね。

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