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「あのぅ、ところで、何故俺を呼んだんでしょうか?」
「ああ、お前を呼んだのは、あれを昨日渡すの忘れてたからな」

 会長が如雨露を地面に置き、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。あれ、というのは、俺の想像しているものでいいのだろう。

「手、出せ」
「あ、はい」

 両手でお椀の形を作って差し出せば、そこに俺のストラップが乗せられた。壊れた様子も、汚れた様子もない。

「拾ってくださってありがとうございました」
「ああ――それは、あのゲームのやつなんだよな?」
「はい、そうです!」
「……どこに売ってたやつなんだ」

 ぼそりと呟かれた言葉に笑みが零れる。

「俺の近所にある駄菓子屋にあったんです!」
「駄菓子屋にストラップが…?」
「というか、店内にガチャガチャがありまして」
「ガチャガチャ…あのカプセルのやつか」

 会長が目線を上に上げる。会長、ガチャガチャしたことないんだろうな……やってるイメージがない。

「俺色んなとこ探したんですけど、あそこだけしか見つからなかったんですよね」
「へえ、で、どこだよ」
「会長ガチャガチャやるんですか!?」
「なんだよ、わりぃか」

 ぶんぶんと首を振って否定する。別に悪いなんてことはない。というか、会長がこのストラップをほしいってことが嬉しい。

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