13

「……そういや、今日は遅刻しなかったみたいだな」
「なんで知ってるんですか?」
「お前の担任が職員室で言ってたぞ」
「あ、そうなんですか…」

 いや、まあいいけど。あんまり俺の話しないで欲しい。

「よくそんな顔で来たな」
「そんな顔って……そんなに俺酷い顔ですか」
「ああ」

  ああ、って。即答されたらショックだ。ずーんと肩を落としていると、会長が少し困ったような顔をした。

「……お前って変なやつだよな」
「まだ貶してきますか!?」
「いや、貶してるわけじゃねえよ。普通のやつならもっと俺のこと褒め称えてくるからな」

 それは自意識過剰なのでは……と思ったけど、会長くらい完璧な人だから、本当にそうなのかもしれない。というかこれくらい自意識過剰でも仕方ないか。

「だから――あぁ、そうだ」
「はい?」
「このこと、言ってないよな」

 会長がこのこと、で如雨露を軽く振る。俺は頷いて、ここに来る前に考えていたことを思い出した。

「……ここの花って、会長が世話してるんですか?」
「まあな」

 花を眺める会長の視線に、花への愛情を感じた。

「へえ……花、好きなんですね」

 会長が花から視線を俺に移す。そしてぼそりと呟いた。

「やっぱりお前、変なやつだな」

 ええ、と文句を言おうとしたけど、会長の苦笑を見て、俺は口を閉ざした。

[ prev / next ]



[back]