12

 あっという間に放課後になって、俺は花壇へと向かった。会長と初めて会った場所だ。そういえばあの時、如雨露を持って水をやっていたなと思い出す。あそこの花って会長が世話してるんだろうか?

「お、来たな」
「どうも……」
「うわ、ヒデェ顔」

 会長はしゃがんだまま俺を見上げ、すぐさま貶してくる。その手にはやはり如雨露があった。

「眠れなかったんで…」
「ああ、そう」

 相変わらず俺には興味がなさそうだ。でも! でもでも、俺は知っているんだぞ。フフフと笑みを浮かべると、会長は気味悪そうな顔で俺を見た。

「な、なんだよ気持ち悪ぃな」
「会長、マジックでGO!面白かったでしょう!?」

 俺もしゃがんで会長にへらりと笑いかける。一瞬面食らったが、すぐに気まずそうに舌打ちした。

「……まあ、面白かったのは認める」
「いやあ、会長が話の分かる方で良かったですよ」
「ウゼェ。ブサイク面をこっちに向けんな」

 顔の向きを無理矢理変えられる。俺は暴言を寛大な心で聞き流し、会長の手を顔から剥がす。

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