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「探してたんです。ありがとうございます」

 へらりと笑って会長の手からストラップを受け取ろうとしたが、直前でふいっと手を離される。

「えっ」
「お前、こんなの好きなのか」
「こっ、こんなのぉ!?」

 聞き捨てならない台詞に俺は思わず声を荒くする。会長は煩いと言いたげな顔でじろりと俺を睨む。

「こんなのってなんですかこんなのって! 俺の大好きなゲームの一番好きなゲームなんですよ!」
「ゲーム? お前オタクってやつか」
「んなっ……!」

 どんがらがっしゃーんと体に雷が落ちる。会長ってゲームやらないのか? っていうかゲームイコールオタクってそんな思考持ってる人まだいたのかよ!

「別にオタクってわけじゃないです! 今の世の中ゲームやってる人なんて沢山いますし! っていうか会長!」
「な、なんだよ」
「一回やってみてください! 世界観変わりますから!」

 会長は俺を鬱陶しそうに見ると、眉を上げた。

「つーかお前の性格が現在進行形で変わってんだけど。……で? 俺にこの変なのが出るやつをやれと?」

 ストラップが目の前でぶらりと揺れる。変なのに反応しそうになったが、俺は大きく頷いた。

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