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「もうだめだ……」
「よく分かんねぇけどドンマイ」

 高橋がけらけらと笑うのが聞こえた。俺は溜息を吐いて、スマホを見つめた。仕方ない。もう一回ガチャガチャやるしかない。

「はい、席ついてー」

 教師が教室に入ってきて、高橋が俺の頭に手をぽんぽんと乗せ、自分の席に戻っていった。






 ごみ捨ての時間がやってきた。俺はごくりと唾を飲み込んでごみ袋をぎゅっと握る。
 昨日と大部時間をずらしたから、会長と会わないですむ……と思いたかった。目の前で腕を組んでこっちを見ている人物を見て、俺は顔を引き攣らせた。

「よう、小田原浩樹」
「……こんにちは、会長」
「遅かったな」

 ……遅かったな、ということは。会長は俺を待っていたということか? 一体何故。俺に何の用があるというんだ。

「あの、俺ごみ捨てがあるので」
「まあ待てよ」

 会長がにやりと笑う。俺は訝しげに思いながら、無視はできないので、とりあえず何ですかと訊ねた。すると、会長は制服のポケットから何かを取り出す。会長の手が開いた瞬間、俺は、あっと叫んだ。

「それ俺のストラップ!」
「やっぱお前のか」
「えっ、会長捨てないで持っててくださったんですか!」
「まあ……っておい、今のどういうことだ。失礼な奴だな」

 会長が眉を顰めているが、今はどうでもいい。とにかく返して貰わなければ! 俺の頭の中はそれでいっぱいだった。

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