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「お前どこ見てんだよ」
「ふみまへん」
「つかマジでブサイクだな」

そりゃあんたに比べたら大概の人がブサイクだ。パッと俺の顔を放すと、手を服で拭いてきた。俺の顔は汚いってか。とても失礼だ。

「あの…俺そろそろ」
「おお、行け行け」

しっしっと手で追い払われる。非常に腹立たしいが、とにかくこれで解放される。あとはごみ捨ての時に気を付ければいい話だ。
俺は頭を下げると、早足でその場を去った。






教室に戻ると、俺はヘロヘロの状態で机に伏せた。べしっと誰かに頭を叩かれる。俺はのろのろと頭を上げる。小学校からの友人である高橋が不思議そうに立っていた。

「お前どしたん? そんなに山ちゃんに絞られた?」
「いや……まあそれもあるけど、それ以上に嫌なことがありまして」
「ふーん」

 うわ。興味なさそう。ちなみに山ちゃんというのは担任のことだ。名前は山田という。

「またゲームやってたんだろお前」
「うん。面白いから高橋もやってみろって」
「いやあれマジクソゲーだろ」
「おい!」

 ゲーム仲間である高橋は、俺の大好きなオンラインゲーム「マジックでGO!」を全否定してくる。いや確かにタイトルのセンスはないしやるまで俺もクソゲーだと思っていたけど。グラフィックは綺麗だし、モーションも多いし戦闘だってパズル形式で面白い。
 何故分かってくれないのか。

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