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「ええー」

 風莉は可愛らしい顔をむすりと顰める。星矢は風莉のミスだったのかと納得した。それにしても捕まれている頭が痛そうである。
 星矢はカタカタと指を動かし、表を作成する。数値の書かれたデータと見比べし、ふうと息を吐く。頼まれた仕事を終えたのだ。

「……あっ、河成!」

 星矢の様子を見た風莉がぱっと顔を輝かせる。

「へ?」

 話しかけられた星矢は目を丸くして風莉を見上げる。風莉は書類を両手で握って星矢を期待の眼差し で見つめた。

「あのさ、一緒にこれやってくれない?」
「俺がですか?」
「おい、これくらい自分でやれ!」
「痛いっつってんじゃん! 殴んないでよ!」

 星矢はぎゃあぎゃあと言い合っている遼と風莉に呆れつつ、書類をちらりと見る。あまり時間がかかりそうな内容ではない。ここで言い争っている時間があるなら作業にとりかかった方が良いのではないだろうか。そんなことを思いながら書類を眺めていると、ぬっと大きな手が風莉の手から書類を奪った。

「……やるか」

 低い声が星矢の耳に響く。風汰が星矢の隣に座り、パソコンを立ち上げる。

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