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 静貴はふわりと笑うと、ご機嫌オーラを纏って紅茶を口に含む。星矢は自分の任された仕事をやるべく、パソコンにの方に向き直る。静貴は以前の演技していた軟派な性格をしていた時とは全く違う星矢の真剣な顔を見つめ、顔を赤くした。星矢の本当の性格を知る前より、星矢への好意は大きくなっていた。できれば自分のものにしたいと思う静貴だが、ライバルが多すぎる。生徒会役員は勿論、仲が良い星矢の友人たち、そして……と指で数えるには足りないほど星矢に好意を寄せる人物がいるのだ。
 静貴は元々星矢に悪意を向け、星矢からも良い感情を持たれていなかった。しかし星矢は男嫌いなので、男臭い顔をしている者よりはこれから頑張れば好かれる、と思っている。
 星矢と静貴が二人パソコンに向かってカタカタとキーボードを打っていると、静かな空間がドアの開く音によって壊された。

「はー…」

 ダルそうに溜息を吐きながら生徒会室に入ってきたのは会計の室川京だった。室内にいる星矢と静貴に目を向け、無言で入ってきた。

「よう」
「あ、室川…」

 静貴は無視して一直線に星矢の元に向かっていった京は、にいっと笑う。星矢は目を丸くして京を見上げた。

「ええと、俺に何か…」
「用がなきゃ来ちゃいけねぇの?」
「い、いや」

 むっと拗ねた子どものような顔をした京は、ずいっと顔を近づけた。あわあわとする星矢が可愛く思え、ふっと笑んだ瞬間。京の後頭部に何かがぶつかった。鈍い音が室内に響く。

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