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結局、折れたのは遼だった。ぶつぶつと文句を言いながら生徒会室を出ていった後、静貴はふうと息を吐いた。星矢はいきなり静かになった部屋に緊張し、紅茶を飲む。
「河成、データを送るので、表を作ってください」
「あ、はい」
星矢は慌ててノートパソコンを開き、電源ボタンを押す。立ち上がるまで画面をぼおっと見つめていると、再び静貴が星矢に話しかけた。
「あの……」
「はい?」
「最近、どうですか」
星矢は、これさっきも聞いた言葉だなと思いながら口を開く。しかし言葉を発する前に、静貴が続けた。
「おすすめの少女漫画ありますか」
「あ、少女漫画ですか…」
遼とは違う近況に星矢は苦笑を浮かべた。仲の良い女友達の律から聞いた話を思い出そうと視線を上に上げた。最近は漫画を買っていないのだ。
「ええと、……壁ドン男子の短編集とか」
壁ドンなんて俺にとっては恐怖でしかないけど、と星矢は心の中で呟いた。しかし静貴は違う解釈をしたらしい。
「……壁ドンですって?」
「え、はい…」
「そういうのが好みなんですか?」
じっと静貴に見つめられ、星矢はえっと声を上げる。慌てて首を振った。
「違います! むしろそんな人はちょっと怖いです」
「ふうん……そうですか」
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