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 星矢たちが生徒会室に入ると、デスクでノートパソコンを使っていた副会長である源静貴が顔を上げた。ちらりと星矢たちを見ると、ああ、と声を上げる。

「河成ですか」
「って、俺もいんだけど」
「どうぞ、紅茶を出すので座ってください」
「勿論俺にもあんだろうな?」

 静貴は笑顔のまま立ち上がる。どうやら遼のことは見えないふりをするつもりらしい。遼の眉がピクピクと動く。怖い顔をする遼に星矢は顔を引き攣らせ、自分のデスクに向かった。本当は紅茶を運ぶ手伝いをするつもりだったが、もう大人しく席についておいた方がいいのではと判断したのだ。
 遼は星矢が動いたことによりハッと我に返り、続いてデスクに足を運ぶ。

「――…つーか、あいつらはどうした、あいつらは」
「あいつら?」

 紅茶を持ってきた静貴が遼の言葉に反応し、首を傾げる。しかしすぐに、ああ、と頷く。

「赤地たちですね。さあ、知りませんが」
「お前何で知らねえんだよ」
「僕が来た時はいませんでしたよ」
「……逃げたな」
「俺、探してきましょうか?」

 星矢が紅茶を受け取り、ありがとうございますと礼を言う。そしてそのまま申し出ると、遼と静貴は顔を見合わせた。

「……いや、源、お前が行けよ」
「僕はまだやることがあります。あなたが行ったらどうですか」

 笑顔で睨み合う二人。星矢はやっぱり俺が行けばいいんじゃないかと思ったが、口を挟める雰囲気ではなかった。

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