▼ 13
試験の結果は、正直言ってできたとは言い難い。しかし、まあ単位を落とすことはないだろう。多少悪くても、単位を貰えれば良いのだ。
「ちょっと、近藤くん」
肩を叩かれ、俺は顔を上げる。視線を向けると、平松が眉を顰めて俺を見ていた。
「……ああ」
「ああ、って。何、元気ないじゃん」
「ま、ちょっと試験が微妙でな」
「はあ? 喧嘩売ってる?」
「売ってる」
にやりと笑って見せれば、平松は溜息を吐いた。
「デカプリン食べに行くんでしょ」
「ああ、そうだな。たくさん奢ってもらお」
「ふざけんな」
げし、と脚を蹴られ、平松を蹴り返す。平松が女とか、どうでもいい。俺を傷つけるやつは許さない。
「ん?」
平松はふと立ち止まって、ある場所をじっと見つめる。
「おい、行くんだろ」
「いや……」
俺は平松の視線を追う。そこには何もいない。
「なに?」
「いや、さっき誰かいたような……」
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