13

 試験の結果は、正直言ってできたとは言い難い。しかし、まあ単位を落とすことはないだろう。多少悪くても、単位を貰えれば良いのだ。

「ちょっと、近藤くん」

肩を叩かれ、俺は顔を上げる。視線を向けると、平松が眉を顰めて俺を見ていた。

「……ああ」
「ああ、って。何、元気ないじゃん」
「ま、ちょっと試験が微妙でな」
「はあ? 喧嘩売ってる?」
「売ってる」

 にやりと笑って見せれば、平松は溜息を吐いた。

「デカプリン食べに行くんでしょ」
「ああ、そうだな。たくさん奢ってもらお」
「ふざけんな」

 げし、と脚を蹴られ、平松を蹴り返す。平松が女とか、どうでもいい。俺を傷つけるやつは許さない。

「ん?」

 平松はふと立ち止まって、ある場所をじっと見つめる。

「おい、行くんだろ」
「いや……」

 俺は平松の視線を追う。そこには何もいない。

「なに?」
「いや、さっき誰かいたような……」

[ prev / next ]



[back]