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那須はほとほと呆れたという顔を全面に表し、俺から視線を外した。
「お前、いつか刺されるんじゃない」
ぽつりと呟いた言葉に、俺はまさかと笑った。
さて、試験が始まったわけだが。俺は勉強なんてしない。何故なら、俺は顔だけでなく頭も良いのだ。しなくても良い評価を貰える。なんて凄い人間なんだ、俺ってば。
俺は昨日から何度も鳴っているスマホを掴み、開いた。俺が今遊んでいる男の名前がずらりと並んでいる。その中から一人の男を選び、連絡した。
『ごめん、忙しくて連絡できなかったんだ。今日、会えないかな…?』
顔文字と絵文字をしつこくない程度に使い、送信。すぐに帰ってきた了承の返事ににんまりと笑う。
何故こいつを選んだかというと、こいつが一番連絡してきたからだ。連絡数を見て、餌を与えるやつを決めている。そうすると、こいつらが暴走したり俺に飽きたりする前に阻止できるのだ。俺って天才。
待ち合わせ場所を記載して再び送信。俺はよいしょと腰を上げると、ゆったり用意を始める。待ち合わせにわざと遅れて、そわさわするあいつらはとても面白い。
「ごめん! 待ったよね?」
「あ……いや、今きたところなんだ」
嘘つけ。俺は近くの喫茶店で見てたぞ。にやにやとしそうになるのを抑え、わざと息を荒くして小さく笑う。
「そっかぁ、良かった」
うわー、あつそ。俺は汗の浮かんだ額を見て思う。三条彼方。品の良さが滲みでている金持ちの坊っちゃんだ。金髪のさらさら髪で、どうやら一部のやつから王子様と呼ばれているらしい。
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