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べしべしと巽の腕を叩くと、漸く解放された。更木に近づくとげっそりしている俺を見て何とも言えない表情をした。
「大丈夫?」
「まー…一応」
「それにしても、迫力が凄いな」
更木が感心したように呟く。更木もこの空気の中爽やかに笑っているのも凄いと思うんだが。ここに連が来ると知って顔を引き攣らせていたから苦手なんだろうと思っていたが、どうやら違うらしい。連をまっすぐ見つめている。
「で、お前は?」
「更木。そこの大石と違ってちゃんとした友達だから安心してくれよ」
安心してくれって…。微妙な気持ちになりながら連を見ると、更木は敵ではないと判断したようで、ならいいと言った。…お前はマジでなんだよ。俺の保護者なのか。
「…おい、もういいだろ? 帰れよ」
「えっ俺たちまだ来たばっかだけど!」
「ここにいたって面白くないだろ…」
「お前がいればどんなとこでも面白いんだよ」
連の口説き文句のような言葉にひくりと口を引き攣らせた。そういうのは女に言ってやれよ。
「えーっと、これどういう状況? 三角関係?」
男の三角関係なんてなんて嫌な表現してくれたんだ更木。というか巽はともかく、連はそういうんじゃないだろ。
ていうか授業どうしたんだ。もうそろそろ教師が教室に来る頃だろ。こいつら不法侵入ってことで追い出してくんねえかな…。時計と教室のドアを交互に見ながらそんなことを思っていると、連がにやりと笑った。あ、嫌な予感。
「センコーなら来ねえぞ」
入構許可証をひらひらとさせる。それを貰うときに何か圧力でもかけてきたのだろうか…。
「迷惑だからやめろよ、そういうの」
「誰が迷惑するってんだ」
「俺も、周りの奴らもだ」
周りがさあっと青くなる。そんなこと言って大丈夫なのかというような顔だ。こんなところで暴れるほど短気なやつではないから大丈夫だ。安心させるように目配せしたが皆目を逸らすばかり。全く以て伝わってないな。
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