22

 僕は家に帰ると、すぐに自分の部屋に戻って携帯電話を手に取った。連絡は――きていない。

「……よ、よし」

 どきどきと煩い心臓を抑え、メールを打っていく。

『こんにちは。今、良いでしょうか』

 そこまで打って、そういえば敬語じゃなくて良いと言われたのを思い出す。良いかな、に変えて送る。僕は携帯電話を握りしめたままベッドの上で待つ。
 数分後、携帯電話が震える。表示されている名前は、広樹くんだ。ごくりと唾を飲み込み、メールを開いた。

『大丈夫だよ』

 ほっと息を吐く。そして、何を書けばいいのかと頭を抱えた。何も考えず、とにかく送らなければと思っていた。どうしよう、あまり返事が遅いと、不審に思われるかもしれない。

『最近忙しい?』

 とりあえず、送っておく。数分後、またメールが受信された。

『ちょっと忙しいけど、陽一のことを優先するよ』

 どきっとして手が止まる。――なんて返そう。そんなことを迷っているうちに、再びメールが届いた。

『会いたいな。今度、会える日あるかな?』

 う。僕の手は再び止まった。

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