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「予定とか詰まってそうなのに…」
『いや、そんなことないよ。んーと、じゃあ、そうだな。今週の土曜日とかどう?』
「ど、土曜日って……明後日!?」
『あ、ダメ?』
「大丈夫…」

 明後日、っていきなりだ。まあ突然言われても予定なんて全然入ってないからいいんだけど。……そこはいいんだけど、着ていく服とかがないのが問題だ。合コンの時は制服だったから私服は見たことがないけど…絶対に格好いいんだろうな。イケメンって、どんな服でも合いそうだから羨ましい。僕が着たらどの服でも微妙になってしまう。だから無難な服を着てしまって、全体の印象が地味になっちゃうんだけど。
 ……ところで遊びに行くって、二人で、ってことなのかな。広樹くんの友達と一緒に、ってことだったらどうしよう。僕一人アウェイだ。

「あの、広樹くん」
『ん? なに?』
「二人で、だよね?」
『当たり前じゃん』

 くすりと笑う広樹くん。僕はほっとして息を吐いた。二人というのも緊張するけどわ他に人がいるよりましだ。

「じゃあ、土曜日に。ええと、何時頃にする?」
『昼ご飯を一緒に食べたいから午前中に待ち合わせしよう』
「分かった」

 それから具体的な待ち合わせ時間と場所を決めて、それじゃあ、と言って電話を切る。心臓はドキドキと鳴っていて、僕はずっと携帯電話を握りしめ続けていた。

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