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「陽一は家どこらへんなの?」
「あーえっと、まあ、ここからそんなに遠くないところです」
「へえ、そうなんだ」

 ……なんで僕はこのイケメンと一緒に帰ってるんだろうか。
 僕はさきほどの会話を思い出して心の中で溜息を吐いた。








「あの、僕用事があったのを思い出して……すみません、帰ります」
「ああ、うん。いいよ」

 どきどきしながら言ったら、皆はあっさり了承してくれた。漸く帰れる――と思ったら。

「あ。じゃあ俺も帰ろうかな」
「え!?」

 え!? なんで!?
 僕はぽかんと口を開けたままイケメンを見上げる。

「陽一、帰ろっか」
「ええ! 山邊くんが帰るなら私も帰るぅ」
「いや、きみたちはまだいたらいいよ」

 いや、きみもいた方がいいんじゃないかな……?

「あの、山邊くん……」
「なに? 陽一」

 きらきらとした顔で言われ、僕は言葉を詰まらさせる。

「あ、いや…山邊くんはまだここにいたら…?」
「俺のことは名前で呼んでよ」

 えっ、スルーされた?




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