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もうこの話は終わりということで、本城先輩は頼んだスパゲッティを食べ始める。なんか、本当に気にしてないみたいだ。ほっとはするが、なんだか…ちょっともやっとする。小竹と付き合うふりをした時問い詰められたからだろうか。こんなにあっさりと話が終わって不満に思うのは。
――俺って結構、我儘なやつなのかも。心の中で溜息を吐いて、麺をすする。今日はざるそばだ。俺はちらりと本城先輩を見る。ばちりと目が合った。
「ん? どうした?」
……本城先輩はどうなんだろう。告白とか…。見た目は不良だが、女っていうのはちょっと悪い男に惹かれるっていうし。本城先輩がいい人って、すぐに分かるし。俺のクラスだって、最初は引き気味だったけど、今では怖いと思ってる人はいないだろう。それに、こんなに格好いいんだ。先輩は俺がモテるって言うけど、本城先輩だってモテるだろう。
「おい、夏生?」
「あ…いや、その」
「なんだよ」
じっと見つめられ、これはごまかせないと思った俺は、正直に口にした。
「……先輩もモテるだろうなって、思ってました」
「俺が?」
きょとんと目を丸くし、自分を指さす先輩に頷いて見せる。
「なんでそう思ったか知らねえが、別にモテねえよ」
「…告白とか、されないんですか」
「……そんな多くは」
ということは、されるんだな。本城先輩がモテて嬉しいという気持ちと複雑な気持ちが混ざりあって変な顔になる。そのうち可愛い子に告白されて、俺のこと嫌になったらどうしよう。そんな不安を胸に抱いた瞬間、頭に手が乗った。
「俺は、付き合うのはお前がいいんだよ。俺のことが信じられないか?」
「……信じられます」
「なら、いいだろ。はい、この話は終わり」
本城先輩が俺が告白されてもあっさりしているのは……俺のことを信じているから? そう思うと、胸がぽかぽかと温かくなった。
スパゲッティを食べ進めている先輩を見つめ、俺はくすぐったさに目を細めた。
fin.
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