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 あれから結局返事は来ず、俺はどんよりとしていた。そんな俺を八嶋は訝しげに見ていたが、俺は気づかないふりをしていた。
 そして昼休み。がらりと教室のドアが開いた。

「夏生」

 しんと静まる教室。その中で俺を呼ぶ声はすっと俺の耳に入ってきた。

「本城先輩…」

 本城先輩は苦笑して手招く。俺は立ち上がると、財布を持って先輩に近寄る。

「あの、本城先輩…」
「話は後な。とりあえず食堂行こうぜ」
「あ、はい」

 声から怒りは感じない。顔も怒っているようには見えない。ほっとして頷く。
 そして俺たちは食堂へ向かった。









「さっきのメール」

料理を注文し、受け取った俺たちは空いてる席を見つけ、座った。そして今の言葉。突然だったため、どきりと心臓が跳ねた。

「返せなくて悪かったな」
「あ、いえ…」
「全然――ってわけじゃねえけど、気にしてないから。お前がモテるのは知ってるからな。お前もあんまり気にすんなよ」

 告白のことを言っているのだとすぐに気づいた。あの八嶋の紛らわしい言い方であらぬ誤解を招いているのではと思ったが、良かった。

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