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 今までも告白は断ってきた。だけどどっと疲れが出てくるのは、俺にも好きな人ができて、相手の気持ちが分かるようになったからだろうか。
 うんざりとしながら教室へ戻ると、八嶋が手を挙げた。

「おう、どうだった」
「告白。断ってきた」
「まー、そうだろうな。彼女いるんだっけ?」
「そう」

 にやあ、と笑う八嶋。俺は嫌な予感がして顔をそらした。しかし回り込んできて、小さな声で話しかけられる。

「で、誰なんだよ」
「教えない」
「お前が特定の子と良く喋ってるの見たことないしこの学校じゃないよなあ」

 俺の話聞いてないなこいつ。黙っていると、肯定だと受け取ったのか、一人でなるほどなあと言っている。

「……ないとは思うけど、小竹優と付き合ってるとかないよな?」
「それはない」
「ですよね」

 これは流石に否定する。他校の女子ということで落ち着いたのか、これ以上追求してくることはなかった。

「そういえば、本城先輩がさっき教室に来たよ」
「えっ?」

 突然出てきた名前にぴくっと体が反応する。本城先輩が教室に? …何の用だろう。

「今告白タイムですって言っておいた!」
「は?」


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