おまけ

side:本城

「……はぁ?」

 逃げる優を捕まえて夏生と付き合うことになったことを報告すると、こいつ頭おかしいのかみたいな顔をして俺を見た。まあそうだろうな。俺も一発で信じてもらえるとは思っていない。
 俺が何故わざわざ優に言ったかというと。――牽制だ。仮にも夏生と付き合っていた奴だ。夏生に好印象を持っている可能性がある。女顔で女装しているからといって、恋愛対象が男ではないことは知っているが、念のためだ。

「……え、マジなの?」

 俺が真剣な顔で優を見つめていたからか、優は信じられないという感じで訊ねてきた。

「マジ」
「…はああああ?」

 大きな目を大きく見開いて驚く。この顔を俺に向けるのは珍しいことだから少し嬉しい。

「一体どうしてそんなことに」

 いつもであれば俺の話なんて聞く耳を持たないが、よほど驚いたのか、逃げずに俺の話を聞いている。

「まあそういうことだから、これからはあんまり夏生にべたべたするなよ」

 寄り添っている二人の姿を思い出す。あれは俺を騙すためだとは分かっているが、一応な。

「……分かったっつーの。その代わり、僕のこと色々口出ししないでよね!」

 …え。それは難しいな。ていうか嫌だな。とは思ったが、とりあえずここは頷いておこう。

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