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今日は食堂ではなく、人目を気にしない場所で食べようということになり、昨日も来た例のベンチに向かった俺たち。小竹がいたら取っ捕まえてやると意気込んでいた本城先輩だったが、やはりセンサーか何かしらあるのか小竹はベンチにいなかった。…まあ、これでゆっくり話せるといえば話せるけど。
俺は緊張してガチガチのままベンチに腰掛ける。隣に本城先輩も座り、沈黙が訪れた。
「……えーと、夏生が俺のこと好きっつーのは、マジなのか?」
うっ。いきなりそれを訊いてくるのか。横からの視線を意識しながら頷く。
「なら付き合うか」
「えっ!?」
そんなあっさりと!? 俺はぱっと本城先輩に顔を向け、あんぐりと口を開ける。その顔が不満だったのか、むっと目を細める本城先輩。
「何だよ、嫌なのか?」
「嫌とかじゃなくて…先輩の方こそ、気持ち悪いとか…そういうのないんですか?」
「朝のこともう忘れたのか? 俺はお前が俺のこと好きって言ってくれて嬉しいっつったんだけど」
「あ…」
そういえば言っていた。…ということは、本当に?
「小竹みたいに可愛くないですけど…いいですか?」
「そんなの気にしねえ…つーか、俺からしたらお前可愛いから問題ねえよ」
「……いやいやいや」
何を言うのかこの人は。
「むしろお前の方が嫌じゃねえ? こんな見た目で」
自分を指差し首を傾げる本城先輩。完全不良。女の子要素なんて欠片も見つからない。――でも、この人がいいのだ。俺が力いっぱい頷くと、嬉しそうに笑った先輩は、俺に手を差し出す。先輩の手の平に自分のそれを乗せた瞬間、ぐいっと引っ張られ、俺は目を丸くする。そして瞼に何か柔らかいものが当たって、ちゅ、と音を立てた。かっと顔が熱くなる。
「じゃ、これからも宜しくな」
「……はい」
にやりと笑う先輩に、俺は不貞腐れながら返事をした。
fin.
おまけで優くんを登場させます!
登場人物
夏生 雄星(なつき ゆうせい)
高校二年。
噂などに疎い。
見た目爽やか系男前。
本城 正孝(ほんじょう まさたか)
高校三年。
見た目は完全に不良だが世話好きな兄貴。
優の兄だが嫌われている。
小竹 優(こたけ ゆう)
高校二年。
女装男子。可愛い。
兄の本城を鬱陶しく思っている。
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