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「でも良かった。先輩が小竹のことを恋愛感情で好きじゃなくて…」
「…なんでだ?」
「そりゃ、勿論俺が先輩のことを好きだからで……」
あれっ。俺今何て言った。
「え……」
「いや、あのっ今のは……!」
かっと顔に熱が集まる。ぶんぶんと首と手を振って否定すると、唖然としている先輩はじっと俺を見下ろす。
「俺を好き……?」
「ち、ちが……あの、ええと、とにかくちが…」
「何だよ、違うのか?」
必死に否定すると、むっと眉を顰める本城先輩。どきりとして言葉を詰まらせた。
「俺もお前が優と付き合ってないって知ってホッとしたし、俺のこと好きって言われて嬉しかったんだけど」
「えっ…!?」
「そうか、お前は俺のこと好きじゃねえのか」
じろ、と探るように睨まれ、俺は大混乱。本城先輩の言葉を頭で復唱して、まさか、と期待に胸を募らせる。
「す、好き…です」
本城先輩を見上げ、細々と言うと、一瞬本城先輩は硬直し、じわじわと顔が赤くなっていった。そして俺も、恐らく今真っ赤だろう。真っ赤な顔の男二人が見つめあっている奇妙な状況になった。
「そ、そうか」
「はい…」
沈黙。何とか話題を作ろうと頭をフル回転させていると、耐え切れなかったのか、本城先輩が早口で告げる。
「じゃ、じゃあ、また昼に」
そして、俺が返事をする前に校舎へ入って行ってしまった。
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