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 ……今、なんか、兄貴……とか聞こえたけど。

「あ、あのう、あ、兄貴とは…」
「え?」
「げげ…」

 驚いたように目を丸くする本城先輩と、顔を引き攣らせる小竹。

「知らなかったのか!?」
「は、はい…」
「お前何で言ってないんだよ!」
「言いたくないから」

 ……な、なんだと。この感じ、本当に兄弟っぽい。

「なんだそれ……って、じゃあ、夏生は俺のことを一体なんだと……?」

 話を振られ、俺はえっと声を漏らす。じっと二人に見つめられ、ぼそぼそと答える。

「……ええと、小竹を好きな先輩だと…」
「……うそだろ…」

 げんなりとした顔で呟かれたので、俺はすみませんと小さく謝罪する。

「いや、夏生は悪くないし、俺と優の関係知らなかったらそう見えても仕方ない…か?」

 俺は本城先輩に初めて会った時のことを思い出す。確か……どういう関係だ、って言われて……。ああ、あと、認めない、とも。……兄弟と分かれば納得できる。弟が男と付き合ってるなんてこと認められないよな…。

「……ま、バレたなら仕方ない。ということで、僕はここらへんで…」

 じゃ! と手をびしりと挙げて走り去っていく小竹。

「あっ、こら待て優!」

 そしてその後を追いかける本城先輩。俺は呆然とそれを見送った。

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