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 俺は直ぐに小竹に電話をかけた。連絡先は既に交換してある。スマホを耳に当て、呼び出し音を聴きながら小竹が出るのを待つ。中々出ないので、イライラしていると、漸く小竹が通話に出た。その瞬間、俺は叫ぶ。
 
「どういうことだよ!」
「はぁ? 何がぁ?」

 ……なんか、寝起きみたいな声だな。いや、ていうかこれ寝起きだろ!

「不良のことだよ!」
「ふりょー……ふりょぉねぇ』

 舌足らずな喋り方で不良を繰り返す小竹。…非常に叩き起こしたい衝動に駆られる。

「起きてくれ! そして説明してくれ直ちに!」
『うっせーな…』

 ……。……え、怖。今のほんとに小竹か?

『んだよ、さっきから……あ。あれ? 電話? 夏生?』
「……夏生ですけど」

 漸く起きやがったか。人が大変なときに寝惚けやがって。心の中でぐちぐちと文句を言っていると、電話の向こうで欠伸の音が聞こえた。

『ごめんごめん、寝てたわ』

 今度はけらけらと笑う声。俺は深い溜息を吐いた。


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