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「……え?」
「いや、だから……え、お前本当に知らないの?」

 クラスメイトの一言にあんぐりと口を開ける。俺は今、とんでもないことを聞いてしまった。

「小竹優って男だよ」
「でも、制服……見た目も男には見えなかったけど」
「まあそう言いたい気持ちは分かる。でも小竹も隠してないし、有名なんだけどな」

 「あー、でもお前そういうのに興味なさそうだし知らないかぁ…」しみじみと言うと、肩を竦めるクラスメイト。……なるほど、呼び出されたときの表情の謎が解けた。

「小竹に付き纏ってる先輩っていうのは? それも有名?」
「あー……なんかそういうことは聞いたことあるけど、あれ本当だったん?」
「え、本当だったとは…?」

 なんだか嫌な予感がして聞き返すと、クラスメイトはさらっと言葉を返してきた。

「そういう人を実際見たことないし、嘘だと思ってた」
「つ、つまり……本当は付き纏われてなかったとしたら」
「ただ普通に付き合うだけだな」

 俺は頭を抱えた。そんな俺の肩に、クラスメイトが手を置いた。

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