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「室伏って、ほんとよく分からない」
「俺、凄く分かりやすいと思うけどな」
どこがだ。内心呟きながら、じとりと室伏を睨む。そして小さい、本当に小さい声で室伏に訊ねた。
「あの、室伏が俺のこと好きっていうのが、嘘じゃないなら。俺のこと本当に好きっていうなら、――この前の言葉は撤回する」
本来ならば教室で話すべきではない話。人に聞かれないように言ったはいいが、……室伏にちゃんと届いているかが心配である。それに、……この言葉になんて返すかっていうことも。俺は俯いてじっと返事を待つ。室伏の顔は見られなかった。
「……ほんと?」
「え?」
室伏の声が少し上擦って、俺は驚いて顔を上げる。室伏は目を丸くしていて、良くみれば頬がほんのり赤く染まっていた。
「カズ、今の言葉ほんと?」
「ほ……ほんと、だけど」
呆然としながら答えた瞬間、室伏は破顔した。不覚にも、その顔に見惚れてしまった。
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