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「嘘?」
「もちろん友達だと思ったことはあるよ」

 そうかと返そうとして止まる。思ったことは……ある? どこから本当でどこから嘘なのか分からない。

「とにかく、俺はお前と別れたいんだ」
「そんなに別れたいんだ」

 室伏の顔から笑顔が消える。俺は無言で頷いた。

「ふーん…」

 再び笑みを浮かべると思っていたが、未だ無表情のままだ。

「……むろ」

 室伏の名前を呼ぼうとしたが、途中で室伏の顔が近づき、口を塞がれる。なんだかデジャヴを感じる。俺は室伏の顔が離れていくのを待ち、ごしっと口を拭う。

「だ、だから何でこんな――」
「好きだから」
「は……」

 嘘だ、と返したかった。しかし、あまりにも室伏の顔が真剣だったため、俺は言葉につまった。

「好きだからキスしたし、今付き合ってるんだけど」

 室伏は続けて言った。「カズも、俺のこと好きだろ」
 俺は何も言えなかった。

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