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「役員の奴らと、あとは親衛隊の奴らと搗本だな」
「……搗本と親衛隊も!?」

 綾斗の口から出てきた意外な名前に目を見開く。しかし、今までの謎が解けた。搗本の冷静な顔、親衛隊の注意だけの呼び出し。そして、仕事を放置していたのに何も問題が起きなかったことも。していないように見せて、やっていたんだろう。

「でもなんで搗本まで巻き込んで…」
「巻き込んだのはあの野郎だ。俺たちはむしろ守ってやった立場だ。だろ?」
「え? だろって――」

 俺に訊かれても……と思った瞬間、ひょこっと搗本が顔を見せた。

「搗本!」
「どうも、志賀野先輩」

 にこりと笑う搗本は俺たちに近づいてくる。目を丸くしたままそれを見ていると、続いてやってきた人物に更に驚く。

「神場」
「会長、俺の名前忘れてますよ」
「テメェに協力してもらった記憶がないんでな」
「…え、神場も巻き込んでたのか?」
「搗本と俺クラスメイトなんですよ。だから何とか助けてやりたいなって」
「そうだったのか…」
「……嘘吐け。面白がって山田にひっついてた癖に…」

 搗本がぼそっと呟くと、神場が笑みを浮かべて搗本を見る。目が笑ってないぞ、神場…。

「…まあとにかく、会長の言ってることは本当ですよ。俺になにかないようにと気遣ってくれました」

 搗本の言葉に安心する。良かった、綾斗はちゃんと分かっていたのか。


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