19

「ちょっと待て……一体どういうことなんだ?」
「……お前が」
「俺が…?」

 俺が何か関係してくるのか…? 真剣な顔でじっと見つめられ、ごくりと唾を飲み込む。

「お前が俺の気持ちに全然気づかねーから」
「綾斗の気持ち…」

 言いながら、まさかと目を見張る。――綾斗の気持ち。そういえば、何か思うことはないか、みたいなことを言っていたような…。それは、もしかして。

「ちょ、ちょっと! 綾斗!」
「はいはい、黙ろうねー」
「いっそのこと気絶させたら?」
「ひっ!?」

 さらっととんでもないことを言う日野。山田が青ざめる。

「お、おい…綾斗、あれ…」
「あっちは放っておけ」
「放っておけって」
「…いいから聞けって。俺は、お前の気を引くために、あんなキモイぶりっ子野郎に構ってたんだ」

 いろんな奴に協力してもらって。と言葉を付け加える。いろんな奴、とは。そこで山田に酷い態度をとっている二人か…。ちらりと日野たちに視線を遣って直ぐに戻す。綾斗はにやりと笑う。

「お前が考えている以上に協力してもらってるんだぜ」
「ええ…? あっ、まさか、戸部とか…」
「いや、あいつ嘘吐くの下手そうだから言ってねえ」

 ぱっと戸部を思い浮かべたが、どうやら違うらしい。じゃあ、誰だ? 俺は首を傾げる。

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