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「は?」

 目が点になった。横にいた戸部も唖然として山田を見ている。

「ねえ!」
「え、ええと…俺は生徒会長親衛隊の隊長を努めさせてもらっている、二年の志賀野日向だ」
「へえー、日向ね!」

 愛らしい笑みを浮かべる山田。あれ、今俺二年って伝えたよな…? 敬語は使わないのか。それに、まさかいきなり下の名前で呼ばれるとは。まあ、幼馴染のあいつは最初から呼び捨てだったけど。あいつは例外ということで。
 ここは御曹司が集まる学園だ。だから礼儀などはしっかりしていないと厄介なことになる可能性がある。俺は別にそこまで気にしないが、妙にプライドが高いやつとかいるからな。注意しておいた方がいいだろう。

「……山田くん」
「山田じゃなくて凛!」
「え?」
「凛って呼んでよ! もう僕たち友達じゃん」

 友達? いつの間に友達に? 俺はそんなつもりなかったんだけど。というか友達だから下の名前で呼び合うというのも違うような。

「ちょっと、きみ。さっきから黙って聞いてりゃ…」
「きみじゃなくて凛!」
「……めんどくさ…」

 戸部は山田に聞こえないくらいぼそっと呟く。俺は心の中で同意した。こういっちゃなんだが、綾斗たちはこの子のどこに惚れたんだ? 顔か?

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