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「山田くん」
「え?」
教室に入って声をかけると、談笑を止めた山田が顔を上げる。きょとんとした山田は、俺と目が合うときらきらと目を輝かせた――ように見えた。
「わあ、あなたかっこいい!」
「…え、俺?」
いきなり褒められ、俺は自分を指差す。うんうんと頷く山田の横に座っていた一匹狼が音を立てて立ち上がる。
「おい、凛! こいつに関わるな! ……テメェ、親衛隊が何の用だ」
「ちょっと。日向さんは……」
「戸部、いい。ちょっと確認したいことがあって来ただけなんだ」
目を吊り上げる戸部を抑えて、俺は敵意がないことを示した。一匹狼は俺が信用ならないのか、俺を睨み続ける。
「田辺、座れば?」
田辺と呼ばれた一匹狼と違ってにこにこと笑みを浮かべているのはバスケ部のエースだ。
「……ッチ」
不愉快そうに顔を歪めて舌打ちをすると、席に座る田辺。
「さ、どうぞ。先輩」
「ありがとう。ええと、きみは…」
「神場です」
神場はにこりと笑う。人好きのする笑みだ。こちらも自己紹介をしようと口を開いた時。
「ねえ、名前は何ていうの!?」
山田が話しかけてきた。
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