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「……なんだ、気になんのかよ?」
綾斗は何故か少し嬉しそうに俺に訊ねてくる。綾斗の言う通りなので、俺は頷いた。
「…え、まじで?」
驚いたように目を丸くする。何を驚いているのだろうか? 良く分からないがもう一度頷いておく。綾斗はそわそわとし始めた。
「ふ、ふーん…」
「お前、自分が目立つってこと、ちゃんと自覚しているか?」
「は?」
ぴたりと綾斗の動きが止まる。ひくりと口を引き攣らせると、先程の嬉しそうな表情から一変して不機嫌な顔になった。
「……そっちかよ」
「そっちって?」
首を傾げると、ますます怒った綾斗が俺の頭をべしっと叩いてそのまま去っていった。ここは目立つから山田には後で会いに来るのだろう。
「日向さん…」
ずっと黙っていた戸部が深い溜息を吐いて、呆れたように俺を見上げてきた。
「僕、ちょっと会長様が哀れになってきました」
「え、何で?」
俺の方があいつの良く分からない言動と行動に悩まされるのに、何故綾斗が哀れ? 心底不思議で訊ねると、戸部は目を細めた。しかしすぐにいつもの顔に戻る。
「山田に話しかけに行きますか?」
「え、無視?」
「行くならついていきますよ」
戸部は笑顔を浮かべる。俺は無言で頷いた。
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