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 というのも、告白してくるやつらが鬱陶しい。親衛隊は信用ならないのでお前が隊長をやれと綾斗直々に指名をいただいたからである。だから俺は、生徒会長親衛隊の隊長となったのだ。――もしかして、元々の恋愛対象は女だが、好きになったのは男だった、ということだろうか? それならば、応援したい。少し寂しくはあるが、綾斗が幸せになるなら、と思う。

「……で、何で怒っていたんだ?」

 俺は一人、呟いた。









 綾斗が一人の生徒を構っているという噂が広がったのは、翌日のことだった。しかも、綾斗だけではなく、生徒会全員が、という噂で。あの綾斗のみならず曲者揃いの生徒会役員から好かれるなんて、本当にどういう男なんだと興味が出てきた。……でも、同時に周囲が見えていないのかという怒りの気持ちも出てきた。自分達の影響力が分かっていないのか? 軽率な行動でその想い人が傷ついたらどうするのだ。

「日向さん、どうしますか?」
「とりあえず、その子に会いに行ってみるかな。こっそり」
「……日向さんは、何とも思っていないんですか?」
「なんともって? …ああ、俺はお前たちみたいにあいつを好きなわけじゃないから大丈夫だ」
「いや、僕もそういう意味で好きではないですけど…」

 副隊長を任せている戸部が額を押さえて呟く。小柄で男と思えないほど可愛らしい。綾斗たちが好きになったのも、戸部のような男だろうか。

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